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医療機器の不具合については、下記の通り大別されます。
① 仕様上の問題 | 安全性などの観点から、設計当時の設計コンセプトの見直しが必要な問題 【例】 ・乳房撮影装置の制御ソフトの設計不良によって、乳房が過剰圧迫された ・人工関節のライナーが想定した耐用期間よりも早く摩耗した |
② 不良品 | ・製造過程で医療機器が規格通りに製造されていないことによって発生する問題 ・流通段階において不適切な輸送・保管がなされたことによって発生する問題 【例】 ・接着(接合)不良に夜液漏れ ・ディスポーザブル注射器以内への異物混入 |
③ 故障・破損 | 医療機器が規格通りに製造され、かつ品質検査を合格して出荷されたものが、使用中に破損したり一定期間使用されたあとに動作が不良になったりして、本来の機能を果たさなくなったことによる問題 【例】 ・操作部の接触が不良となり、データ設定ができなくなった ・摩耗によるバルーンカテーテルの破裂 |
④ 添付文書などの不十分な記載 | ・当該医療機器の使用者が、当該医療機器に関して標準的な専門知識を持っていたとしても、添付文書の記載が不十分であったため発生したと考えられる問題 ・第三者から判断して、ヒューマンエラーが誘発される表現があったために発生する問題 【例】 ・使用期間や耐用期間、保管方法などの表示が明確でないため、材質の劣化による破損や故障が起こった ・添付文書上に組み合わせ機器が明確に記載されておらず、使用者が他の機器と組み合わせたが使用できなかった |
⑤ 機器による有害な事象 | 医療機器の仕様に関連するあらゆる好ましくない、もしくは意図しない徴候(臨床検査血の異常変動も含む)、症状、または病気のことである。 また、既存の疾患(併存症などを指し、原病は含まない)が増悪した場合も含む。更に使用者の取扱などが原因の問題も含む。 【例】 ・人工血管からの血液流出 ・ラテックス・ニッケルなどの素材由来のアレルギー反応 |
行政への報告が必要な不具合は下記の通りです。
1. 不具合報告
医療機器にかかわる国内外の省令の不具合に関する報告。
該当する医療機器や外国医療機器によって、健康被害や健康被害が発生する恐れのある事例があった場合は、報告の対象となります。
2. 感染症報告
生物由来製品の仕様によって発生した感染症にかかわる国内外の報告。
生物由来の原料などから該当する医療機器への病原体の混入が疑われる場合、B方肝炎ウィルス、C方肝炎ウィルス、HIVなどのウィルスマーカーが陽性となった場合などが感染症報告の対象となります。
3. 外国措置報告
外国高医療機器にかかわる製造、輸入、販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するための措置の実施にかかわる報告。
外国における有効性、安全性の観点からの製造中止や他の効能、効果、操作方法、使用方法、または製造方法の変更、医師からのレターの配布やそれに準じる重要な使用上の注意の改定などがあった場合は、報告の対象となる。
外国でとられている措置について、外国製造元や各国の規制当局から情報を収集する。
4. 研究報告
該当する医療機器や外国医療機器の国内外の学術雑誌などに掲載された研究報告、関連企業において行われた研究報告。
当該医療機器や外国医療機器の不具合、それらの使用による感染症によって、がんやその他の重大な失疾病、障害や死亡が発生する恐れがあること、不具合による症例、もしは使用による感染症の発生傾向が著しく変化したこと、承認を受けた効能や効果がないことを示す研究が対象となる。
文献は、疫学調査、不具合や健康障害の集計・分析報告のみで、個別症例が特定できるものは対象外です。